印紙税(収入印紙)の基礎知識

印紙税について基本的なことをまとめています。

領収書の印紙税(収入印紙)

領収書の印紙税は身近な問題なのではじめに掲載しています。
なお売上代金で、受け取り金額が5万円未満の領収書は課税されないのでご注意下さい。

再発行した場合

再発行しても、通常の領収書と同じ扱いをします。
(参考)国税庁ホームページ

仮領収書の場合

仮領収書というタイトルであっても、内容が領収書と同じであれば、取扱いも領収書と同じです。
参考)国税庁ホームページ

集金の預かり証

集金の預かり証であっても、お金の受取りを証明する文書を交付すれば、印紙税の課税の対象となります。
(参考)国税庁ホームページ

代引きの場合

代引きで商品を発送後に、お客様より領収書を発行してほしいという要望があり、領収書を交付した場合でも、印紙税の課税の対象となります。

印紙税はあくまでも、課税文書を作成した者に課税されます。
一件の売上だから課税は1回、とは限りません。

前述の通り再発行であっても課税されるので、課税される文書を作成すれば何度でも課税されます。
納税義務者は課税文書の作成者です。
(参考)国税庁ホームページ

手付金等の場合

手付金等の受け取りを証明する文書は、売上代金の受取書に該当します。
(参考)国税庁ホームページ

クレジットカードの場合

領収書にクレジットカード払いである旨が記載してあれば、課税されません。
(参考)国税庁ホームページ

電子マネー、プリペイドカード、商品券等

現金と同様に扱います。(有価証券に該当)
(参考)国税庁ホームページ

相殺した場合

売掛金と買掛金の相殺については、実際に金銭のやり取りは行われないので、その部分を除いて印紙税額の判定をします。
(参考)国税庁ホームページ

消費税が区分されている場合

消費税の金額が明確に区分できれば、本体価格で印紙税額の判定をします。
(参考)国税庁ホームページ

ただし免税事業者は消費税の金額を区分しても、税込みの金額で判定をします。
(参考)国税庁ホームページ

基本的なポイント

印紙税とは?

一定の文書(契約書や領収書、手形等)を作成したときに、課税される税金が印紙税です。

その納付の方法は収入印紙を郵便局などで購入してきて、その文書に貼ることになっています。
またその貼りつけた収入印紙には消印を押す必要があります。

作成したとき、とは?

必ずしも作成したその時点を指すのではなく、目的によって変化します。

例えば領収書であれば相手に交付したとき、契約書であれば互いに効力を確認したとき(証明したとき)、などとなります。

なお実務上は事前に収入印紙を貼ることになると思われます。

収入印紙を貼らないで納税する方法

事前に税務署の承認を受けていれば、収入印紙を貼らずに申告により印紙税を支払うことができます。

領収書に「印紙税申告納付につき◯×税務署承認済み」、と記載してあるものがそれに該当します。

その他にも一定の方法があります。

消印を押さない場合

登録免許税や各種申請手続き時に貼る収入印紙については、「消印しないこと」等の記載があるはずです。

そのような場合は当然何も押さずに手続きを完了させます。

消印の方法

消印は再使用防止のためにするものなので、当事者以外の人の署名でもかまいません。
ただし単なる記号ではなく、名字などで記す必要があります。
(参考)国税庁ホームページ

一定の文書とは?

一定の文書は20種類に区分されています。
※下記「課税される文書の概要」でも一部掲載しています。

前提

前提として、文書の名称ではなくあくまでも記載された内容で、課税されるかを判断します。

「◯×契約書」は印紙税が課税されない、という単純な決まりはありません。
面倒ですが内容を一つ一つ検証する必要があります。

また例えば請求書に「了」という文字が記載してあり、当事者間ではこれが金銭の受け取りを証明している場合は、実質的には領収書となります。

しかしここからが難しいところですが、
一般的な請求書には「前回御請求金額、御入金額、繰越金額~」などと記載されている場合があります。

微妙なところですが、これは金銭の受け取りの証明というより、繰越金額の計算過程であると考え領収書の扱いをしません。
ただ念の為に事前に税務署へ請求書を持参し、確認をされるとより確実だと思います。

貼らなかったらどうなるか?

税務調査などで貼っていないことが発覚した場合は、貼るべき収入印紙の金額の3倍が、過怠税という罰金のようなものとして徴収されます。

その3倍の過怠税を納めれば、新たに収入印紙を購入する必要はありません。
なお過怠税は最低額が決まっていて、少なくとも1,000円は必ず支払うことになります。

しかし収入印紙が貼っていなくても、契約の効力は有効です。

貼っていないことに気がついた場合は?

収入印紙を貼っていないことに気がついて税務署に申し出た場合は、過怠税はその貼るべき収入印紙の金額の1.1倍となります。

この場合は最低額の決まりはありません。

消印をしなかったらどうなるか?

消印をしていないことが発覚した場合は、その消印をしていない収入印紙と同じ金額の過怠税が徴収されてしまいます。

この場合も最低額は1,000円です。

文書を共同で作成した場合は誰が納めるのか?

例えば契約書を2通作成して、それぞれが保管することはよくあります。

この場合はその2通に収入印紙を貼る必要がありますが、その負担はどちらでもかまいません。

一方が2通分の収入印紙を購入して貼り付けても、それぞれが自分の分だけの収入印紙を購入して貼り付けても、どちらでも認められます。

なお過怠税も、一方が2通分を納めても、それぞれが自分の分だけを納めても、どちらでも認められます。

間違って貼った場合

必要以上に多い金額の収入印紙を貼ってしまった場合、収入印紙を貼ったのにその書類が必要でなくなった場合(※)は、印紙税の還付が受けられます。

手続きは税務署にその収入印紙が貼られた文書と、印鑑、通帳を持って申請しに行きます。
なお収入印紙をはがしたり、切り取ったりした場合は無効となってしまいます。

ではどこの税務署かと言うと、基本的には確定申告書を提出する税務署になるケースが多いのですが、事前に電話等で確認した方がいいでしょう。
また細かい事情によっては還付にならない可能性もあるので、これも事前に税務署で確認した方がいいでしょう。

※ 契約書を作成した後で、その契約が解除・取消しとなった場合は対象になりません。

コピーした場合

コピー機でコピーしたものは、印紙税の対象となる文書とはなりません。

ただしそのコピーされた文書に何らかの証明を加えたり、双方が押印などをした場合は課税される文書となってしまいます。

FAX、メールでやり取りした場合

FAX、メールによるやり取りは、文書の作成にならないので印紙税の対象になりません。
印鑑を押して、それをFAXで送っても印紙税の対象となる文書になりません。

ただし、FAXやメールによる印刷物を相手に渡して何らかの確認・証明をした場合は、課税文書になってしまいます。
(参考 国税庁ホームページ 問2 )

他の文書を引用している場合

例えば、「◯月△日付けの貴社注文書の通り請け負います。」
という他の文書を引用した文書を作成する場合もありますが、

第1号文書(不動産の譲渡契約書等)、
第2号文書(請負に関する契約書)、
第17号の1文書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)、
については、引用元の文書の金額が記載されていることになってしまうので注意が必要です。
(参考)国税庁ホームページ

複数の課税文書に該当する場合

一つの文書で複数の号の課税文書に該当する場合は、高い方の印紙税額となる等の定めがあります。
(参考)国税庁ホームページ

当事者以外に提出する場合

例えば監督行政官庁に提出する場合など、その契約に直接関係ない者に課税文書を提出することもあります。

この場合はその文書に提出先が記載されているもの、あるいはその文書の内容から第三者に提出することが明らかなものは、その提出する文書には課税されません。

課税される文書の概要

課税される文書に対する税額はこちらをご参照下さい。
→ 1~4号 5~20号

なお、どの業務でも日常的に使用する可能性があるのは、

2号文書「請負に関する契約書」
7号文書「継続取引の基本となる契約書」
17号文書「金銭又は有価証券の受取書」(領収書)

であると考えられるので、その3つについては税額も含めて以下に記載しております。

第2号文書

「請負に関する契約書」

<例>
・工事請負契約書
・保守契約書
・清掃請負契約書

<ポイント>
カタログや見本を基に注文される契約は物品の売買契約となり、その契約書は課税される文書とはなりません。

また取り付けが簡単で特別の技術を要しない作業の契約も物品の売買契約となり、その契約書は課税されません。

なお請負とは業務の完成に対して報酬が支払われます。
例えば住宅の建築の請負であれば、契約通りの家が完成して報酬(代金)を支払うはずです。
建築が失敗したけど報酬を払う、という契約はあり得ません。

一方、業務委託(内容が委任であるもの)の場合は業務に対して報酬が支払われます。
例えば何かの検査を依頼した場合は、検査に対して報酬を支払います。
検査さえずれば、結果として何も異常がなかったとしても報酬を支払う契約です。
基本的に委任に関する契約書には印紙税はかかりません。(ただし内容に依ります。)

<印紙税額> ※契約金額が1,000万円を超える場合は軽減措置があります。

 記載された契約金額  印紙税額
 1万円未満  非課税
 100万円以下  200円
 100万円を超え200万円以下  400円
 200万円を超え300万円以下  1千円
 300万円を超え500万円以下  2千円
 500万円を超え1千万円以下  1万円
 1千万円を超え5千万円以下  2万円
 5千万円を超え1億円以下  6万円
 1億円を超え5億円以下  10万円
 5億円を超え10億円以下  20万円
 10億円を超え50億円以下  40万円
 50億円を超えるもの  60万円
 契約金額の記載のないもの  200円

第7号文書

「継続的取引の基本となる契約書」

<例>
・売買取引基本契約書
・業務委託契約書
・特約店契約書
・代理店契約書

<ポイント>
契約期間が3ヶ月以内であり、かつ更新の定めのないものは該当しません。
ただし内容によっては他の文書に該当する可能性はあります。

<印紙税額>
4千円

第17号文書ー1

「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」

<例>
・領収書

<ポイント>
有価証券とは小切手や手形、プリペイドカード、商品券等をいいます。

物品の受取書は課税文書とはなりません。

消費税については明確に区分して記載されていれば、消費税分を除いた本体価格で判断します。

売上とは資産の譲渡、利用させること、役務の提供をいいます。

(参考)国税庁ホームページ

<印紙税額>

 記載された受取金額  印紙税額
 5万円未満  非課税
 100万円以下  200円
 100万円を超え200万円以下  400円
 200万円を超え300万円以下  600円
 300万円を超え500万円以下  1千円
 500万円を超え1千万円以下  2千円
 1千万円を超え2千万円以下  4千円
 2千万円を超え3千万円以下  6千円
 3千万円を超え5千万円以下  1万円
 5千万円を超え1億円以下  2万円
 1億円を超え2億円以下  4万円
 2億円を超え3億円以下  6万円
 3億円を超え5億円以下  10万円
 5億円を超え10億円以下  15万円
 10億円を超えるもの  20万円
 受取金額の記載のないもの  200円
 営業に関しないもの  非課税

※営業とは、法人が行う行為、個人が個人事業として行う行為等をいいます。
また医師、弁護士等の行為は営業に該当しないこととされています。
(参考)国税庁ホームページ

第17号文書ー2

「売上代金以外の金銭又は有価証券の受取書」

<例>
・借入金の受取書
・損害賠償金の受取書

<ポイント>

印紙税法では株券等の譲渡、生命保険等の保険料などは売上から除外して考えます。
よってこれらの受取書も第17号文書ー2の受取書となります。

<印紙税額>

 記載された受取金額  印紙税額
 5万円未満  非課税
 5万円以上  200円
 受取金額の記載のないもの  200円
 営業に関しないもの  非課税

その他の文書

・第1号文書

1 「不動産等、無体財産権又は営業の譲渡に関する契約書」
2 「地上権、土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書」
3 「消費貸借に関する契約書」
4 「運送に関する契約書」

・第3号文書「約束手形又は為替手形」

・第4号文書「株券等の有価証券」

・第5号文書「合併契約書等」

・第6号文書「定款」  ※公証人が保管する原本のみ課税

・第8号文書「預貯金証書」

・第9号文書「貨物引換証、倉庫証券、船荷証券」

・第10号文書「保険証券」

・第11号文書「信用状」

・第12号文書「信託行為に関する契約書」

・第13号文書「債務の保証に関する契約書」

・第14号文書「金銭又は有価証券の寄託に関する契約書」 ※物品の寄託(保管)は対象外

・第15号文書「債権譲渡又は債務引受けに関する契約書」

・第16号文書「配当金領収書、配当金振込通知書」

・第18号文書「預貯金通帳等」

・第19号文書「18号文書以外の通帳等」

・第20号文書「判取帳」

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