領収書の取扱い

経費を計上する根拠となる領収書の取扱いについて確認してみましょう。

なお、購入者側とお店側の両方の視点で書いてあります。

 

印紙税(収入印紙)については印紙税の基礎知識もご参照下さい。

領収書について質問したい

国税庁の電話相談センターでは、無料かつ匿名で国税や領収書に関する質問ができます。

 

電話番号の前に「184」を付ければ自分の番号も相手に通知されませんので、安心してご利用下さい。

(例)184-03-1234-○○○○

 

※はじめは自動音声ですが、最終的には国税庁の職員へつながります。

 

領収書 or 領収証?

よく領収書と領収証という2つのお金の受領書を見かけますが、どちらが正しいのでしょうか?

厳密な違いはあるかもしれませんが、実務上はどちらでもかまいません。

ただ国税庁のタックスアンサーでは総称として領収書という表現を使っているので、当サイトでも領収書(レシートも含む。)とします。

レシートではダメなのか?

むしろ記載内容が充実しているレシートを積極的にもらうべきです。

レシートとは別に(手書きの)「領収書を発行して下さい」という方をよく見かけますが、もう止めましょう。

 

手書きの領収書だとかえって情報不足な場合が多いので、逆に認められない可能性もあります。

レシートでは宛名がないので不安だが?

例えばプライベートで買い物をしたとします。

この時に「領収書を発行して下さい。宛名は○○株式会社で」と言えば嘘の領収書が作れてしまいます。

※良い子はまねしないで下さい。


よって宛名が書いてあっても結局はそのお金が何に使われたのかが問われます。

あまり宛名にこだわる必要はありません。

領収書に不備がある場合(概要)

そもそもレシートを受け取った場合は不備なしと考えて差し支えありません。

税務署もレシートが当たり前と考えています。

 

不備として問題となるのは、感熱紙のレシートで時間の経過により記載内容が消えてしまう場合や、手書きの領収書で記載事項が欠落している場合、領収書を失くしたりそもそも受け取っていない場合です。

 

不備というと印象が悪いですが、直ちに経費として認められないとまでは言い切れません。

ただし念の為に対策を施しておく方がベターです。 

領収書に不備がある場合(対策)

領収書の不備に対する対策としては、①帳簿に必要事項を記載し、②証拠能力を高めておくことです。

 

①帳簿に記載すべき事項は相手の氏名や名称、日付、商品やサービスの内容、支払い金額です。

なお不備がなくてもこの帳簿への記載は必要になります。 

 

消費税法の取扱いがやっかいですが、税込で3万円以上支払った場合に、領収書等がない理由や相手の住所又は所在地も帳簿に記載すべき一定の場合があります。

 

②証拠能力を高めるには、

・出金伝票に詳細を書いておく(100円ショップの出金伝票でかまいません)

・お店からレシートもなく領収書も交付しないと言われたらその旨を記録しておく

・不足している事項を領収書の裏面に書いておく(表面は記入不可)

・そもそも手書きの場合は、漏れ無く記載すべき事項を書いてもらう

・金融機関発行の振込依頼書・払込受領書をとっておく

・香典の中袋や裏面をコピーしておく

・クレジットカードの請求明細をとっておく

・請求書があればとっておく 

・納品書をとっておく 

・その他証拠になりそうな書類をとっておく 

・感熱紙のレシートは内側に折って封筒に入れ光を遮断し空気に触れないようにしたりする

 

など購入した詳細が分かるようにしておきます。

ただ少額の場合はそれほど神経質になる必要はありません。

税務署から領収書の不備を指摘された

本音を暴いてしまえば、税務署としては相手が素人なら言うだけ言って否認できれば儲けものと思っているかもしれません。

 

よって税理士が立会わずに税務調査を受ける納税者は始めから不利な戦いを強いられています。

領収書だけの問題ではなく、根本的な力関係を考慮する必要があります。

個人名の領収書

宛名が個人名のものであっても、会社の業務に使用したものであれば領収書として認められます。

 

ただし説明を求められる可能性はあるので、何を聞かれてもいいようにしておく必要があります。

領収書は必ず交付すべきか?

お金を支払った者は領収書の交付を請求できることになっています。(民法486条)

そしてここが問題ですが、お金を受け取ったお店側などに、領収書を交付する義務があるとは直接法律には書いてありません。

 

スッキリしませんが、それでも実務上は交付することになっています。

確かに領収書の交付と代金の支払いは同時履行の関係にある、という判例もありますが、あくまでも間接的な強制力のようなものがあるだけで、領収書の交付は義務という直接的な規定は存在しません。

 

ただ自動販売機や切符の場合は、領収書は出なくても仕方ないという慣習が浸透しているので、そう考えると結局は曖昧なままのようです。

 

法律というよりお客様相手の商売上は交付が必要かもしれません。

領収書の交付を省きたい

レジがある実店舗ではなくインターネット販売など、領収書を発行していると手間がかかるので、交付を省きたい場合もあります。

 

このような場合は、あらかじめ代わりになるもの(代引きであれば、運送会社から交付される伝票、受領書等。)をもって領収書とする旨を購入規約などに定めて、分かりやすく明示しておけば発行する必要はありません。

 

あらかじめ当事者間での契約があればいいのです。

 

それでも発行してほしいと言われたら・・・

後は自由交渉となるので当事者間で結論を出すしかありません。

 

また省くことにはなりませんが、メールやWeb上で領収書を交付することをあらかじめ購入者と契約しておけば、 郵便代も印紙代もかからずに電子領収書を交付できます。

相手側がその電子領収書を印刷しても、収入印紙を貼る必要はありません。

(参考 国税庁ホームページ 問2 )

 

ただ買った事業者側では消費税法の取扱いがやっかいで、厳密には電子領収書を印刷したとしても、相手から交付された書類と言えるのか微妙です。(印刷はあくまでも電子情報のコピー。)

 

よって印刷した上で、帳簿に電子領収書である旨と相手の住所又は所在地も書いておけば安全です。(税込3万円以上の場合。)

 

法人税法や所得税法では電子領収書を印刷しておけば大丈夫です。(電子帳簿保存法10) 

納品書は領収書になる?(代引き・銀行振込)

納品書ではお金の収受が分からないので、領収書の代わりにはなりません。

 

ただし代引きによって購入した場合は、納品書とお金を支払ったときに運送会社から交付される受領書で領収書の代わりになります。

 

銀行振り込みの場合も、納品書と金融機関で発行される振込依頼書・払込受領書で領収書の代わりとなります。 

領収書の二重発行か?

代引きにより商品を発送した後で領収書を発行した場合は、既に運送会社発行の受領書があるので、領収書の二重発行になると思われるかもしれません。

 

正直、どのように解釈されるのかは微妙ですが、少なくとも「運送会社を通して代金を受け取りました」という旨の記載があれば、まず二重発行になることはないと考えられます。

 

なお領収書を発行すれば、理由を問わず印紙税の課税対象になります。 

クレジットカードで決済した場合の領収書の取扱いは?

クレジットカード決済は、購入者のお金の支払い先がクレジットカード会社に変わるので、お店側はお金の受領を証明する書類を交付できません。(お店側の債権がクレジットカード会社に移転します。)

 

しかし厳密には領収書に該当しませんが、実務上は交付する場合もあります。

 

この場合、実態としては領収書というより「ご利用明細」かもしれませんが、取扱いは領収書と同じものとして取り扱っても差し支えありません。(参考 国税庁ホームページ )

(ただし仕訳をする場合の貸方は未払いの扱いとなります。)

 

なお、品名のない「クレジットカードのお客様控え」だけでは取引の内容が分からないので、領収書(実態は「ご利用明細」)を交付してもらうか、上記「領収書に不備がある場合」の処理をします。

 

またクレジットカード会社が発行する請求明細があったとしても、実務上は通るかもしれませんが、念のため対策を施しておいた方が安全だと思います。 

電子マネーで決済した場合の領収書の取扱いは?

電子マネーは、プリペイドカードや商品券と同様に金銭等価物として取扱い、現金と同じものと考えます。

 

つまり領収書を発行し、5万円以上であれば収入印紙を貼る必要もあります。

 

例えて言えば、電子マネーにチャージするという行為は、現金を電子マネーに「両替」しているだけです。

その両替した電子マネーを使ったのであれば、いつも通りにお金を使ったことと同じことになります。

 

ただしチャージした事業者側は、期末の未使用分は貯蔵品扱いとなります。

またチャージだけでは、その電子マネーで何を購入したのか分からないので、結局は商品などを購入した領収書をもって経費となります。

 

簡便的に処理をするならチャージの時に交通費等の経費で処理をし、決算時に未使用分を貯蔵品に計上する方法もあります。

しかし問題もあるので、少額な場合だけにしておくべきでしょう。 

 

なお、お店側の処理はデビットカードの場合も取扱いは同じです。

(参考 国税庁ホームページ )

ポイントの取扱いは?

商品を買ったときに貯められるポイントについては、お店側から言えば「値引き」扱いです。(会計上は販売促進費等の処理もある)

 

例えば540ポイントを持っていたとします。

1ポイントを1円として、そのポイントを全て使えば税込540円の商品を買うことができます。

 

お店側からすれば税込540円の商品を値引きして0円で売ったことになります。

よってその値引きした分について、理論上は領収書を発行することができないことになります。

 

ただ実際はレジを置いてあるお店がほとんどなので、領収書を発行するケースが多いかもしれません。

 

しかし原則は、あくまでもお金を支払った分について、お店側は受取りを証明することになります。

収入印紙もポイントは無視して支払われたお金が5万円以上であれば貼ることになります。

買った側ではポイント使用分については、0円で商品を手に入れたことになります。

 

厄介なのがポイントといってもお金を支払ってポイントを買える場合です。

この場合のポイントとは、電子マネーと同じといってもいいものです。

 

その買ったポイントと商品購入時に付与されたポイントが混ざってしまうと、純粋なポイントと電子マネー的なポイントの区別がつかないので、管理をする必要が出てくるかもしれません。

 

これは実務上の今後の課題だと言えます。 

値引き等をした場合と消費税

領収書だけでなく、請求書の問題でもありますが、値引き等があった場合の消費税の処理を考えてみます。

 

例えば事業者間で、価格交渉の時点で本体価格について値引き等があった場合は、単純に改訂された本体価格に消費税率を掛ければいいので問題はないと思います。

 

(例)

本体価格10,000円について300円の値引き等があった場合

→10,000-300=9,700

→9,700×1.08=10,476円

 

分かりにくいのは、税込みの金額に対し値引きをした場合です。

この場合は、値引き等の金額を税込みの金額と考えます。(消費税法第38条)

 

(例)

税込み32,400円(30,000円+消費税2,400円)の売上について400円の値引き等があった場合

→売上金額30,000円

 消費税額  2,400円

  合計 32,400円

 値引き等     400円

 請求金額32,000円

 

このような請求書でも問題ありません。

ちなみに仕訳の例として、次の方法などが考えられます。

 

売掛金   32,400 / 売上   30,000

          / 仮受消費税  2,400

 

売上値引    370 / 売掛金    400

仮受消費税   30 /

(参考)国税庁ホームページ

収入印紙が貼っていない場合

収入印紙を貼る義務はお店側にあるので、貼ってなくても効力に問題はありません。

 

なお、お店側は記載金額が5万円以上から収入印紙を貼る必要があります。

もし貼っていないことが見つかれば3倍の過怠税を国に支払う必要があります。

 

領収書でもレシートでも取扱いは同じです。

消費税額を明確に記載していれば、本体価格で5万円の判断します。

 

※免税事業者は税込みで判断します。

2枚以上に分けたら

ではお店側が領収書を2枚以上に分けて3万円にならないようにした場合は、収入印紙を貼らなくてもいいのでしょうか?

 

実はこれは違法にはなりません。

実際にやるかどうかは別ですが、印紙税法ではあくまでも記載された金額で判断します。 

 

ただし社会問題になれば法律が改正されるかもしれません。

税法は穴があると節税に使われる→国側が相応しくないと判断すれば法改正する、この繰り返しです。

 

なお買った側はあくまでも商品の金額で買ったことになります。

例えば13万円のパソコンを買い、仮領収書の関係で7万円と6万円の領収書をもらったとしても、買った金額は13万円で認識します。

 

当然と言えば当然ですが、特例を適用する場合などに注意が必要です。

押印は必要か?

発行者の印鑑を領収書に押さなければならないという規定はないので、法的には必要ありません。

ただし収入印紙を貼った場合には消印が必要です。

白紙の領収書

今でも白紙の領収書はまだあるかもしれませんが、これは避けたほうがいいです。

 

お店側が気を利かせて、といった昔ながらの事情があるかもしれませんが、発行者側が作成しなければ領収書とは言えませんから、何とか必要事項を書いてもらいましょう。

 

もちろん自分で書いてしまうのは論外です。 

領収書に記載すべき項目は?

実は領収書に記載すべき事項は法律で決まっておりません。

消費税法の規定はあくまでも仕入税額控除を受けるための適用要件です。

 

一般的には商慣習に従っておけば問題ありません。

 

① 宛名

② 日付け

③ 受領金額(先頭に"¥"、末尾に"ー"を付け消費税込みの金額を記載、消費税額が明らかに記載されていれば本体価格で印紙税を判断できます)

④ お金を受け取った旨 

⑤ 但し書き(飲食代など)

⑥ 発行者(印鑑を押す義務はありません、ただし購入者から求められる場合があり、臨機応変に対応するしかありません)

⑦ 収入印紙と消印(5万円以上の場合)

⑧ クレジットカードを利用した場合はその旨(書けば収入印紙は必要ありません、逆に書かないと5万円以上は収入印紙を貼る必要があります、またトラブル防止のために書くべきです)

⑨ お店の住所や電話番号を書く義務はありませんが、一般的にどちらかは書きます。

⑩ 通し番号があれば一応透明性を税務署にアピールできます 

 

となります。

手書きであれば100円ショップで売っている領収書で十分です。

領収書の再発行は請求できる?

領収書の再発行を請求できる権利は、特に法律に定められていません。

よく病院などの領収書には再発行できないと書いてあります。

 

よって交渉次第となります。

なお再発行であっても印紙税の取扱いは変わりません。 

消費税法の誤解

不特定多数の者を相手として取引を行っている事業者(小売業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業、駐車場業など)から交付される領収書については、宛名は必要がないといった旨の規定があります。

 

もしかしたらどこかで見たことがあるかもしれません。

しかしこれはお金を支払った事業者側が消費税の申告計算をする場合に限った規定なので、注意が必要です。

 

例えばコインパーキングなどは、そのレシートに宛名が書いてあるわけはなく、宛名入りの領収書もらうことは実務上大変なので、消費税の申告計算上は宛名無しの領収書を使用してかまわないと言っているだけです。 

 

決してこれらの事業者が領収書を交付するという世間一般的な行為に対して、宛名を書く必要がないと規定しているわけではありません。

 

では他の法律で宛名はどうなっているのかと言うと、実は細かいことは規定されていません。

その辺りはあいまいです。

現実的には買う側もお店側もレシートのやり取りで十分です。(わざわざ手書きの領収書を書いてもらう必要はありません。) 

領収書の保存期間は?

税務上、法人は申告期限から9年、個人事業者は申告期限から7年です。

本当は帳簿も絡んでいて複雑なのですが、これが最長の保存すべき期間です。

 

実際は5年分あれば十分で、3年分しか見られない場合が多いのですが、廃棄していいとは言えないので期限まで保存しておきましょう。