マイナンバー制度の概要

マイナンバー制度が平成28年1月から始まります。(執筆日:平成27年10月3日)

しかし中小零細企業までは浸透していないのが実情ではないのでしょうか。

一言で言えば、「マイナンバーを扱う全ての事業者は管理体制を作って適切に運営しなければならない」ことになっています。

 

そこで概要ではありますが、この制度について一問一答形式で説明していきます。

実務上はセミナーや書籍などにより知識を深めることをお勧めします。

なお従業員が100人以下の「中小規模事業者」を前提としております。

 

(1)マイナンバー制度の基本

 

①マイナンバーとは何ですか?

国民一人一人に付けられる12桁の番号です。

 

②目的は何ですか?

行政の手続きを便利にするためです。

 

③便利とはどういうことですか?

手続き時の添付書類が省略できたりすることが期待されています。

また確実に本人を特定できるので処理のスピードアップにもつながります。

 

④当社は関係ありますか?

年末調整や社会保険の手続きなどで、従業員からマイナンバーを提供してもらう必要があります。

 

⑤税理士任せにすればいいのでは?

マイナンバーを取得する時点で法律の適用があります。

よって自社での管理も必要です。

 

⑥関係する書類にはどのようなものがありますか?

「扶養控除等申告書」や社会保険の「報酬月額算定基礎届」などがあります。

 

⑦管理について法律で決まりごとはありますか?

(2)でご説明しますが、罰則もあるので注意が必要です。

 

⑧罰則について教えて下さい。

例えば不正にマイナンバー情報等が漏えいすると、4年以下の懲役又は200万円以下の罰金(併科あり)という重い刑事罰が科せられます。

ちなみに懲役4年(3年超)では執行猶予が付きません。

最悪のケースでは懲役刑もあり得ます。

また漏えいさせた者だけでなく事業者も罰金刑が科せられ責任を問われます。

 

⑨マイナンバーは従業員から集めればいいのですか?

従業員の扶養親族、社労士などの専門家、セミナー講師、賃貸事務所の大家さん(個人)などからも提供を受ける場合があります。

 

⑩例えば大家さんのマイナンバーは何に使うのですか?

支払調書の作成に使用します。

支払調書とはあまり聞かないかもしれませんが、税理士が代わりに作成しているケースが多いと思われます。

 

⑪マイナンバーはどうやって知るのですか?

平成27年10月から各個人へマイナンバー通知カードの発送が始まります。

 

⑫どこへ送られてくるのですか?

住民票の住所をもとに簡易書留で送られてきます。

 

⑬会社にも番号が付けられると聞きましたが?

会社の場合は13桁の番号が割り当てられます。

ただしこちらは公開され、誰でも利用することができるため管理は不要です。

 

(2)マイナンバーの管理

 

①事業者として行うべき対応は何かありますか?

適切な「管理」体制を作り、

マイナンバーの、

「取得」

 ↓

「保管」

 ↓

「提供」

 ↓

「廃棄」

の流れで、ルールに沿った運用を考える必要があります。

 

マイナンバーは(違法ですが)売ることができる価値のある情報と考えられています。

つまり、国が作った「新しいお金」とも言えるのです。

そのお金(マイナンバー通知カードのコピーなど)が机の上に置いたまま、という「ずさん」な管理が許されないのは常識で考えても理解できると思います。

よって情報が漏れない仕組み作りをしなければならない、ということになります。

なおこれらの対応はマイナンバーを扱う全ての事業者に求められている義務です。


「管理」について

②管理とはどうすればいいですか?

ここが一番大変なところですが、

責任者、担当者を決める

取扱規程を決める(※任意)

組織を管理する(責任、役割、連絡体制、取扱い記録の保存、定期点検)

人を管理する(研修、担当者の監督)

場所を管理する(専用ブース、専用の保管庫を設ける、持ち出し制限)

システムを管理する(セキュリティソフトの導入、パスワード保護などの強化)

といったことが必要となります。

 

③取扱規程とは例えばどういうものですか?

「マイナンバー 取扱規程」のキーワードで検索をするとサンプルが見つかります。

 

④取扱い記録とは具体的にどういうものですか?

業務日誌等で、マイナンバーの取得、廃棄、提供日、担当者等の取扱い状況を記録することです。

※(3)の②でサンプルをご提供しております。

 

⑤定期点検とはどういうものですか?

責任者がおおむね1年に1回程度、マイナンバーの取扱い状況を点検する必要があります。

 

「取得」について

⑥取得について何に気を付ければいいですか?

利用目的を示す

本人確認をする

ことが必要となります。

ただし従業員などは雇用時に本人確認をしていれば省くことができます。(利用目的の提示は必要です。)

 

⑦本人確認はマイナンバー通知カードだけではできませんか?

他に運転免許証などが必要とされます。

 

⑧拒否されたらどうすればいいですか?

マイナンバーの記載が法律上の義務であることをお伝え下さい。

どうしても取得できないときはその過程を記録しておきます。

 

⑨とりあえずマイナンバーを取得しておけばいいの?

マイナンバーは必要な場合に取得をします。

むやみに取得することは違法となります。


「保管」について

⑩マイナンバーはいつまで保管すればいいですか?

必要がある場合にだけ保管することになっています。

例えば扶養控除等申告書は7年間の保存が必要となります。

 

⑪社員の管理番号に使用できますか?

マイナンバーの利用は役所への提出に限定されているので法定外の利用はできません。

 

「提供」について

⑫具体的にマイナンバーの提供とはどういうものがありますか?

例えば源泉徴収票に記載したり、社会保険の資格取得届に記載したりして役所へ提出します。


⑬税理士や社労士に任せればいいですか?

従業員からマイナンバーを取得する時点で法律の適用があるため、専門家任せにできません。

なお税理士などに管理を委託をする場合はマイナンバーに関する新たな契約が必要となります。

 

「廃棄」について

⑭マイナンバーが必要なくなった場合はどうすればいいですか?

保存の必要がなくなったときは削除する必要があります。

 

⑮削除とは具体的にどうすればいいですか?

シュレッダーの使用や、書類溶解サービスの利用が考えられます。

また削除や廃棄については責任者が確認する必要があります。(記録までは義務となっておりませんが、できるだけ記録した方が望ましいと言えます。)

 

(3)まとめ

 

①難しいので対応できるか分かりません。

マイナンバーを「お金」と考えてみて下さい。

会社のお金は金庫に入れて、扱う人も限定し、入出金があるたびに帳簿に記録するはずです。

同じことをマイナンバーでもすればいいのです。

 

またむやみに会社のお金を従業員に渡したり、逆に預かることも上司の許可がなければしないはずです。

そのようなお金を扱う常識で考えると理解し易いのではないでしょうか。

 

②具体的に事業者はどうすればいいのか簡単に教えて下さい。

まずは3つのポイントを押さえましょう。

責任者、担当者を決める

鍵付きの保管庫などを用意する

(マイナンバーが記載されている書類は必ずここに保管しておく。)

取扱状況管理簿を用意する

(この管理簿に取得、提供などの取り扱いを記録する。)

 

お金で考えれば、

経理部長(担当者)が、

お金(マイナンバー)を金庫(保管庫)に保管し、

現金出納帳(取扱状況管理簿)に入出金(取得、提供など)を記録する、

という流れと同じになります。

 

こちらにマイナンバーの取扱状況管理簿のサンプルをご用意しましたのでご参考にして下さい。(著作権フリーです。)

なお法令の改正などにより改訂が必要な場合もあるためご利用は自己責任でお願いします。

マイナンバー取扱状況管理簿
マイナンバー取扱状況管理簿.xlsx
Microsoft Excelシート 12.2 KB

 

③次にどうすればいいですか?

本来は取扱規程を用意することが必要です。

ただし中小規模事業者は義務ではないので、少なくとも取扱いが口頭により明確化されていれば最低限の措置はとられていることになります。

なお研修などを受け理解が深まってきたら、自社用の取扱いマニュアルでもいいので用意した方が便利だと考えられます。


④他にするべきことはありますか?

とりあえず上記②~③を実行して形を整えましょう。

他にも細かいルールがありますが、自分で学ぶことも必要です。

 

⑤楽をする方法はありますか?

パソコンにマイナンバーを一切入力しない方が楽だと思われます。

例えばエクセルに入力して管理することも考えられますが、パソコンの中にマイナンバーがあるだけで、用意すべきシステムやセキュリティの難易度が大きく上がってしまいます。

従業員が少ない事業者であれば、パソコンへの入力は税理士や社労士に任せる方が自社ではリスクを負わずに済みます。

 

(4)補足

 

①いつから考えればいいですか?

一番早いケースで、平成27年の年末調整時にマイナンバーを取得する可能性もあります。

少なくとも年内には準備が終わっているように考える必要があります。

 

②従業員が1人の会社ですが、マイナンバー法(番号法)は関係ありますか?

規模に関係なく、マイナンバーを扱う全ての事業者に適用があります。

ただし従業者100人以下の場合は、管理についてある程度の軽減措置があります。

 

③マイナンバーが漏れなければ特別に管理体制作りなどはしなくてもいいのでは?

法律では漏れないという結果だけでなく、管理を含めた体制作りも義務としています。

 

④管理体制を作らなかった場合の罰則はありますか?

特にありませんが、もし漏えいしたとして、何も対策を講じていなかった場合の社会的責任は何かしらあると思われます。

会社名の公表も可能性としてはあり得ます。

またそれを見た人からの嫌がらせも考えられます。

 

⑤マイナンバーのコールセンターがあると聞きましたが連絡先は?

0570-20-0178(全国共通ナビダイヤル)9:30~17:30(土日祝日、年末年始を除く。)となっています。

 

⑥マイナンバーに関する資料などはありますか?

政府広報:http://www.gov-online.go.jp/tokusyu/mynumber/index.html

内閣官房:http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/

特定個人情報保護委員会:http://www.ppc.go.jp/

で一通りの情報が得られます。

ただ分かりにくいので専門家の指導やセミナーなどを受けることも必要かと思われます。

 

⑦このようなことをしてメリットはありますか?

残念ながら事業者には何もありません。

法律で決まっているから仕方がない、という状況です。

 

⑧マイナンバーの利用範囲は今後どのようになっていきますか?

戸籍、預金、医療関係、自動車登録などと紐付きになり、行政手続きなどが便利になっていく可能性があります。

またマイポータルという自分専用のウェブサイトが用意される予定となっています。

 

⑨健康保険証と一体化されますか?

議論が必要で今後の課題と言えます。

 

⑩不正が減ると聞きましたが期待できますか?

所得があるのに申告をしない、生活保護の不正受給、年金の不正受給、などの対策に効果があると考えられています。

 

⑪(個人の立場として)情報漏えいが心配です。

マイナンバーだけでは、それに付随する個人情報を得られないようになっています。

また役所ではマイナンバーと身分証明書のセットで個人を確認し、なりすましができないようにしています。