ご契約後に必要な基礎知識

レシートの取り扱い

(1)レシートはノートなどに貼る必要はございません。
(2)最低でも5年間は保管が必要となります。
(3)電子保存はソフトの費用がかかり、また1枚1枚アップロードされた画像を確認する必要があるため小規模な会社ではメリットはそれほどございません。
(4)お店でわざわざ「領収書を発行してください」と言う必要はございません。レシートで大丈夫です。
(5)細かい経費は立替精算が主流となっており、会社として現金は扱わない場合が多いです。
(6)電子マネーのチャージは両替のような行為です。チャージだけでは経費になりません。
チャージした電子マネーで何かを購入した場合に経費になります。

会計処理

(1)一度確定した決算は遡って修正することはしませんので、必ずご記憶に留めていただきますようお願いします。
(2)一方で税務申告書は遡って修正申告をするケースもございます。その場合も決算書は修正しません。
(3)給与計算も基本的には遡って修正しない場合が多いです。過去の年末調整なども狂ってしまいます。
(4)会計処理につきまして、家計簿の場合は例えば
「水道光熱費 3,000円」と処理します。
しかし会社の会計処理は例として
「(借方)水道光熱費 3,000円 /(貸方)未払金 3,000円」という処理をします。
いわゆる複式簿記の記帳方法になりますが、家計簿のように一つの科目だけを処理しているわけではございません。
例えばこの場合では水道光熱費を削除してしまうと、相手科目の未払金も削除されてしまいます。
単純な処理をしているわけではないことはご理解をお願いします。

各種税制

(1)源泉徴収制度につきまして、給与から源泉所得税が天引きされることは勤務時代にご経験済みと思われますが、今度は自社が天引きをする立場になります。
個人の税理士、社会保険労務士、司法書士、原稿、デザイン、カメラマンの料金などは源泉徴収の対象となります。
(2)減価償却制度につきまして、例えば200万円で車を購入しても「交通費 200万円」とはなりません。
数年にわたって、毎年分割して経費(減価償却費)を計上していきます。
ただトータルでは200万円の経費計上になります。
基準ですが、基本的には30万円以上の資産を減価償却資産として計算の対象にします。
(3)消費税の納税額の計算方法は「売上などの預かった消費税-経費や資産購入などの支払った消費税」となります。
しかし簡易課税という計算方法が選択でき、例えば売上の消費税の何割かを納税することになります。(業種によって異なります。)
一般的には簡易課税の方が納税額が少なくなる場合が多いです。
ただし簡易課税制度は2期前の売上(消費税がかかる売上)が5千万円以下である必要がございます。
(4)外注費につきまして、もし税務調査があった場合は狙われる項目となります。
実態として給与と変わらないのではないかと指摘されてしまうと、追加で納税することになりかねません。
少なくとも契約書の作成や請求書のやり取りは必須となります。

役員報酬

(1)役員報酬の変更は基本的には決算後に行い、毎月一定額を支給します。
(2)役員賞与は事前届出制となっており、決算後1ヶ月以内に届出をします。
(3)役員報酬も役員賞与も、決算で利益が出たから報酬で調整する、といった利益調整ができないようになっております。
(4)一方で、従業員の方へ決算賞与を支給することはできますが、決算日までに給与明細を渡し、決算日の翌月には実際に支給する必要がございます。
決算日後になってから、遡って処理することはできません。
(5)配偶者への給与も、役員登記していなくても役員報酬とみなされる場合があります。(みなし役員)
よって配偶者の給与を上げ下げして利益を調整する方法はお勧めできません。
お子様などの親族も特殊関係使用人という扱いになり、役員報酬にはならなくても極端な給与の支給はできません。
(6)会社から社長への個人的な支払いがあった場合は、社長への賞与とされる場合があります。
この場合は、まず届出はしていないので経費にもなりません。
(7)会社から無用にお金を引き出す行為は、処理に困るだけでなく銀行から評価されないのでご注意願います。
基本的には社長であっても、営業上の支払い以外では、役員報酬、役員賞与、経費精算だけが引き出せる事由となります。

税務の注意点

(1)例えば3月に業務が完了した場合、受注側は3月の売上となります。
逆に発注側は3月の経費となります。
この時、お金の支払いがいつかは関係ございません。
例えばお金の支払いが遅れてしまい、7月なったとしても、あくまで3月の売上、3月の経費となります。
これは会計処理と税務共に同じ考え方となります。
(2)例えば千葉県に本店があり、東京都にも営業所を開設したとします。
その場合、均等割り(地方税)は千葉県で7万円、東京都で7万円かかります。
これを事前に知っていれば開設はしなかったという事例がございます。
その他には個人で住宅の賃貸契約をし、会社の経費になると思い込んでいたが、実際は法人で契約が必要だった、といった事例がございます。
要するに、先に税務処理を知っておく必要があるということになります。
経営的に言えば、法務リスク・税務リスクを回避してから行動する必要があるということになりますのでご注意願います。

給与計算

(1)給与につきまして、例えば計算期間が9/1~9/30で、支給日が10/10とします。
これを「9月分」と考える方がとても多いですが、実務上は複雑で必ずしもそうはなりません。
社会保険や所得税、住民税では実際に支払った月、つまり「10月分」と考えます。
計算期間が9/16~10/15で、支給日が10/25という会社のケースはもはや何月分か分からないと思います。
少なくとも単純ではないことはご理解をお願いします。
(2)従業員を雇う場合、労働保険の申告や雇用保険の手続きが必要となる場合もございます。
社会保険労務士に依頼する選択肢もございますが、例えば柏労働基準協会(柏以外にも全国にあります。)では年間1万円前後で依頼ができます。