本来、個人の確定申告は年が明けてから3月15日までに行います。
しかし年の途中で亡くなられた場合は、その方の確定申告はどうなるのでしょうか。
通常の確定申告との違いを説明していきます。
(1)準確定申告
亡くなられた方の確定申告は、相続人の方が引き継いで税務署へ行う必要があります。
この確定申告を準確定申告といいます。
(2)申告期限
申告期限は亡くなられた日の翌日から4ヶ月以内です。
計算期間は1月1日から亡くなられた日までとなります。
例えば3月1日に亡くなられた場合で、前年分と本年分の2年分の確定申告が必要になるケースもありますが、いずれも亡くなられた日の翌日から4ヶ月以内で大丈夫です。
(3)申告義務がない場合
死亡退職の場合は会社側で年末調整をしてもらえます。
その場合、申告義務がなくなれば準確定申告をする必要はありませんが、還付になる場合は申告をすることができる権利があるので、申告をすれば税金が戻ってきます。
この場合の申告期限は亡くなられた日の翌日から5年以内です。
(4)所得金額の計算
基本的に所得金額の計算は1月1日から亡くなられた日までの期間で計算します。
間違えやすいのが給与で、給与支払日の前に給与の支払いを受けずに亡くなられてしまった場合は、その給与は実は給与になりません。
相続人の相続財産となります。
なお死亡退職時には年末調整を受けますが、年末調整の還付金も相続財産となります。
さらに厄介なのが社会保険料ですが、その年末調整で控除の対象となるのはあくまでも給与から控除された社会保険料です。
相続財産とされる支給額からも社会保険料が控除される場合もありますが、年末調整での控除の対象とはなりません。
年末調整の対象になっていないのであれば、準確定申告でも対象となりません。
年金についても間違えやすいですが、亡くなられた日に支給されていなかったものは相続人の一時所得の扱いとなります。
死亡退職の場合、死亡退職金が出る場合がありますが基本的には相続税の対象となり所得税では対象としません。
(5)所得控除の計算
医療費控除は注意が必要です。
まず対象となる医療費は1月1日から亡くなられた日までのものです。
かつ、亡くなられた方が支払ったものが準確定申告で医療費控除として認められるものになります。
後で相続人の方が支払うケースもありますが、その相続人の方の医療費控除の対象となります。
※亡くなられた方と生計を一にしていた場合。
この場合の相続人の方が支払った医療費は相続税の計算上、債務控除の対象にもなります。ただし亡くなられた方に支払能力があった場合に限ります。
配偶者控除、扶養控除は亡くなられた日で判断します。
生命保険料控除なども亡くなられた日まで支払った金額が対象となります。
(6)手続き
準確定申告書の提出先は、亡くなられた時の管轄先の税務署です。
また相続人が2人以上いる場合は確定申告書付表も添付しなければなりません。
ここには相続財産の価額も記載しますが、現実的にはまだ財産が判明していないケースも考えられるので空欄でかまいません。
納付の場合も還付の場合も相続分で按分して、相続人が納める、又は受け取ることになります。
この場合の納付額は相続税の計算上、債務控除の対象となり、還付金については相続財産となります。