執筆者:税理士大柴真哉
法人決算と税務申告の流れ
決算前後の打ち合わせ時に、どのような流れになるのか説明しています。
なお打ち合わせはお客様が任意で選択することができます。されない方もいらっしゃいます。
決算前
決算の1~3ヶ月前で大まかな利益の予測を出します。
またこの利益額に基づいて税額も仮算出しますので、対策を検討していきます。
できることは限られていますが、税金を減らしたい意向についても相談に対応しています。
逆に赤字の場合も考えられますが、そもそもの経営状態を確認し融資の必要性なども考えていきます。
本来融資は業績のいい状態で借りることが一番理想的ではあります。
赤字の状態では希望額が借りられない可能性もありますが、事業の形態を変えることも探っていきます。
決算後
1年間の見通しを大まかに立てて、利益重視なのか節税重視とするのか方針を考えます。
その見通しにより役員報酬を決定し、場合によっては役員賞与についても検討します。
役員賞与は決算後に届け出(事前確定届出給与)が必要であり、期限があるため金額を決定しなければなりません。
まだ決めるのは早い段階ですが、難しいながらも検討していくことになります。
第三者の視点
決算書や税務申告書は第三者が見るものであるため、その視点も意識する必要があります。
特に金融機関は決算書で業績を判断しますので、どのように見られるのかは重要です。
もちろん利益が出ていることが大切ですが、売掛金が異常に大きかったり、過剰な在庫なども疑問を持たれますので説明できるようにしておきます。
また税務署に対しては、例えば過去からの推移で大きな金額があると注目されますので、あらかじめ申告書の一部に説明を入れておくということもできます。
いずれにしても第三者の視点を意識して進めていきます。
実例から学ぶ柏市の法人決算と税務申告
法人決算と税務申告について当事務所のお客様の実例を紹介させていただきます。
柏市北柏のY社様
Y社様では、会社から社長に対する不透明な資金の流れがありました。
それは本来であれば社長に対する賞与となっても仕方ありません。
また規模にもよりますが刑法に抵触する可能性もあり、特別背任罪や業務上横領罪に該当することも考えられます。
もっとも小規模な会社では刑事告発する人はいないかもしれませんが、例えば税務調査で調査官に見つかることは十分考えられます。
調査官は公務員のため、職務上犯罪を見つけた場合は告発する義務があります。
もっとも税務調査官の場合は守秘義務なども負っており、規模や深刻度なども考慮し必ずしも告発されるとはならないですが、例え一人会社だからといって誰にも邪魔されずやりたい放題にできるとは言えません。
一方で税理士の方も対処に困ります。
正しい手続きは、株主総会で貸し付けを承認→金銭消費貸借契約を作成→会計帳簿上は「役員貸付金」で処理→契約通りに返済という流れになり、その案内をすることになります。
やはりお金はしっかりと管理する必要があると実感させられます。
柏市豊四季のO社様
O社様はもともと自社で決算と税務申告をされていました。
しかし案の定間違っている所が多く、かなりの修正をする必要がありました。
決算書の数値に整合性がない箇所があり、法人税申告書の別表5(2)も見よう見まねで書いたのかもしれませんが、理解できない状態でした。
結果的に別表4、そして税額が狂ってきてしまいます。
仮に自社で決算や税務申告を行う場合でも推奨される順序というものがあります。
それはまず最初の段階では税理士事務所に依頼した方がいいということです。
何度か税理士が作成した決算書や税務申告書を見ることから始めることが大切で、お手本があってそこから、自社で行うにはどうすればいいのかを考えていく流れになります。
ただ自社で税務申告を行うとなると、そもそも法人税と申告書(別表)の書き方を学ぶ必要があります。消費税も同様です。
確かにソフトがあれば何となくできてしまうか分かりませんが、銀行からは信用されにくいと言えます。
そう考えると結果的に決算書の手前まで自社で作成するやり方が適切ではないかと思います。
税理士事務所が最後の決算のまとめと税務申告を行うスタイルが、今の時代では多く見受けられます。
経営の観点から言えば、本業ではないマニアックな分野に貴重な経営資源(時間、労力)を注ぐことは非効率であると考えられます。
変化の激しい現在では、常に新しいビジネスを考えているぐらいでないと環境の変化に対応できません。
税務申告など、外注にすれば負担がなくなる作業は任せておき、自社の将来を考えることに時間を使う方が結果的に効率的ではないでしょうか。
柏市若柴のH社様
H社様は業績悪化に伴い、借入金が増えていきました。
決算書から経営指標を導き出せますが、自己資本比率、流動比率など数値は軒並み悪い状態でした。
多くの経営者の方は業績が悪くなると銀行へ相談しに行く傾向がありますが、貸す側に立って考えると、赤字が拡大しているから貸してほしいと言われたら、どのように思うでしょうか。
普通は大丈夫なのか、返せるのかと疑心暗鬼になるはずです。
本来は赤字の原因を探り、対応策を考え、実行に移している状態で説得をしていく必要がありますが、そのようにして借入れを申し込む経営者の方は少ないと言えます。
銀行側の対応も、その状態で貸して大丈夫なのだろか?と思える事例をよく見ます。
いずれにしても、経営の状態を良くするにはどうすればいいのかを追求する必要があると考えさせられます。
また税理士側も財務の視点からサポートしていく必要性を痛感させられました。
そもそも赤字という結果は損益計算書の数値です。
損益計算書の前に経営の中間目標的な数値があるはずで、その管理が重要となってきます。
例えば「新規問い合わせ件数」「平均顧客単価」「広告のクリック率」など会社によって目標とすべき指標は違いますが、それらの管理が必要となります。
そのような管理体制を構築し、変化にいち早く気づき、早めに手を打つことで最悪の事態を避けることができるのではないでしょうか。
